#2 オランダってどんな国? 〜経済・歴史編〜
さて、前回の投稿から約1週間、次は何を書こうかなぁと考えていたところ、
「歴史の話が聞きたい!」とリクエストがあったのに加え、大学のレクチャーでオランダの経済について触れられる機会があり、非常に興味深かったので、今回は、オランダの歴史・経済についてご紹介したいと思います!
オランダの歴史
非常に簡潔ですが、オランダの歴史をかいつまんで紹介したいと思います。
1548年 一帯を支配していたスペインからの弾圧が激しくなってきたため反発し、独立するための反乱を開始。
1609年 実質的に独立。
1648年 ウェストファリア条約で国際的に独立が承認される。
1830年 ベルギーと分離。オランダ王国という国号に。
1940年~1945年 ドイツの占領後、解放される。
1949年 オランダ領だったインドネシアの独立承認。
(地図の赤い部分は、オランダの占領下にあった国々を指します。世界中にその勢力を広げていたことが理解できます。)
この年表を見る限り、実質オランダという国ができたのはかなり最近(日本の江戸時代初期)だということがわかります。
加えて、長崎の出島で日本と取引していたのは独立後すぐだったという計算になります。
独立後間もないのにも関わらず、遥か遠くの日本でも貿易をするそのバイタリティ、さすが海上貿易で名を馳せていただけありますよね。
ちなみにですが、貿易で培った商人らしさ、というのは今のオランダ人のメンタリティにも色濃く残っていると個人的には思っています。というのも、オランダでは、個人が自分の持ち物を売る光景が非常に日常的であるからです。
自転車や家具やら文房具やら部屋、新しかろうが古かろうがなんでも売ります。
メルカリのようなウェブサイト(メルカリより手軽な気がする)、部屋や物の取引をするためのFacebookのグループなどがあふれんばかりにあります。
(オランダ版メルカリ、Marktplaats。車でさえ取引されています。笑)
実は私も、グループで「中古のテキストを売ってください」と呼びかけたところ、多数の反応があり、
新品の半額以下で買うことができました。
自分が使ったものを何でも売る、これは環境的な配慮もあるかと思いますが、
オランダの環境問題への取り組みはまだまだ掘り下げられそうなので、また別の記事で!
オランダの経済
各国の経済状況の指標となるGDPとGDPの伸び、そしてGDP per capitaについて、日本とオランダのデータをそれぞれ参照したいと思います。
GDP (Billion $)
日本:5,167.05 世界3位
オランダ:945.33 世界17位
GDP伸び(2017年〜2018年)
日本:1.2%
オランダ:3.2%
GDP per capita ($)
日本:40489 (世界25位)
オランダ:55,185 (世界13位)
ここからわかるのは、国全体の総生産量は、 日本がオランダを凌駕しているものの、
経済がより上向きで成長が加速しているのはオランダ、そして
人口1人あたりの生産量はオランダが日本を上回っています。
そんなオランダの産業を支えているのは,
ITと農業。
'IT業界で事業展開している企業のうち、フォーブス誌が選んだ上位2000社の中で60%の会社がオランダに拠点を置いている'、とされているほか、世界各地の有名なIT企業が拠点を置いています。
そして特筆すべきなのは農産物の生産量です。
農業に力を入れた結果、今やオランダの農産物輸出額は、アメリカに続いて世界2位。
九州ぐらいの国土面積ぐらいしかないのに、なぜそんなに農産物を生産しているのか疑問に思われるかもしれませんが、その秘密は、生産地も施設も集約し、IoTシステムを導入して効率良く農産物を栽培しているという点にあります。
国土面積の45%が平地であるという地の利を生かしつつ、ビニールハウスを導入し、植物にとって最適な環境を維持しつつ、労働者やエネルギー等の管理もIoTシステムを通じて集中的に栽培を行なっているというから驚きです。
(オランダの農業関係のデータが書かれたポスターを発見したので、貼っておきます。)
食料自給率の低さが何かと問題視されている日本でも、オランダのようにIoTシステムを農業に導入できるように改革を進めれば打開策が見えてくるのでは、という希望的観測を抱くことができるのではないのでしょうか。
ということで、ここまで結構長くなってしまったので、今回はここまで。
次回は、オランダの政治・政策についてご紹介したいと思います!
9月15日 オランダ・ハーグのアパートメントから
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